(交渉編3)私の夫は浮気がバレて、別居しました。
浮気女の選択したカラオケ店。
無言のまま、従業員に促され入室。
ドリンクを注文し、さらに沈黙の時間。
飲み物が持ち込まれた後、私から
言葉をかけた。
『先に確認をしますが、強要してこちらに
お連れしたわけでもなく、もちろん危害
を加えることもありません。
帰りたければ帰っていただいて
結構です』
『・・・・・・・』
女性の前に、浮気夫と楽しく戯れあう姿や
マンションの駐車場から荷物を運ぶ
二人の姿を撮った画像を並べた。
『改めて確認しますが、ここに映る
この女性は貴女で間違いないですね。
間違いなければ、この男性はどなたで
しょうか?』
『そもそも、貴方は誰ですか?
なぜ貴方に答えなければならないの
ですか?』
『話をすり替えるならば、私は隣にいる
△△さんの妻の代弁者です。
奥さんからの質問ならお答えするん
ですか?』
『・・・・ここに撮影されているのは私で
間違いありません。
△△さんは離婚されるつもりだと
聞いてます』
『△△さんに妻子がいることもご存知
だったんですね。
離婚していないことも知っていたん
ですね』
『夫婦はとうに破綻していると、
言われました。違うのですか?』
『離婚もしてなければ、
破綻もしていません』
『・・・・・・・・・・・・・』
『夫婦が破綻していたとなにか証明
できるんですかね』
『・・・・・・・・・・・・・』
『もしかしたら、あなたを誘惑する
ために彼が嘘をついたのかもしれ
ませんね』
『・・・・・・・・・・・・・』
『少なくとも、彼に騙されたかもしれ
ないが、妻子のある男性と関係を
持ったことも、一緒に住んでいる
ことも間違いですね』
『はい、でも・・・』
『事実が確認できれば、別にそれ
以上に二人の関係を詮索する
必要はないので、それで良いですか?』
『はい』
『ならば、事実関係について間違いない
ということでこの書面に署名と捺印を
お願いします』
『・・・・・』
『これって、どういう意味ですか?』
『ここに記載している通りです。
△△さんといつからか知りませんが、
不適切な関係になり、一緒に暮らして
いた事実を認めますというものです』
『・・・・・』
『貴女はどんないきさつがあれ、妻子
のある男性と同居していた事実が
あります。先ほど認めている内容を
書面にしただけであり、それ以上でも
それ以下の記載でもありません。
拒否するなら拒否しますと書いて
いただければそれで結構です。』
『事実がないと、言われればそれを
確認するしかないですから』
『どういうことでしょう?』
画像を指差し
『これが貴女であるか、確認する
だけです』
『わかりました。署名します。』
用意した事実確認書に浮気女は署名し始めた。
記載されている内容は、浮気夫との関係が
いつ頃から始まり、その事実を認めるという
簡易なものである。
しかし、この内容にはある仕掛けが・・・
全ての記載が終わったところで、
『事実関係が確認されたところで、まずは
目の前にいる△△さんの奥様に謝罪を
していただけませんか?』
ここから交渉・第2章へと移行します。